最近、CMなどでよく耳にする「AGA」とは、前頭部と頭頂部に多く認められる男性型脱毛症のこと。『Dクリニック東京』院長・小林一広さんはこう語る。
「男性ホルモンのテストステロンが、加齢に伴いジヒドロテストステロンという物質に変わり、発毛に悪影響を及ぼします。すると髪の成長サイクルが短くなり、抜けやすくなるため、細く短い髪が増え、徐々に産毛のような状態になってしまいます。AGAを発症する年代には個人差はあるものの、加齢によって進行するのは確実です。遺伝の影響も大きく、AGAの人が多い家系であれば、リスクはより高いといえます」
以前は遺伝だから諦める人が多かったが、今や発毛成分の『ミノキシジル』入り発毛剤は薬局でも入手でき、専門医にかかれば『フィナステリド』などの男性型脱毛症用内服薬を処方してもらうこともできる。もはや薬の力でAGAが改善できる時代なのだ。
TPCマーケティングリサーチの調査によると、2017年の男性コスメ市場は、前年比で2.8%増え、1658億円に。2018年度は2017年度と比べ6.5%増の1765億円で推移する見通しだ。
特に昨年はアンファーやロート製薬からミノキシジル配合発毛剤が新たに発売され、市場の伸びをけん引する見込みだという。Dクリニック東京では20年前から医学的な視点からの治療に取り組んでいる。頭髪の撮影や血液検査などを行い、薄毛の部位や症状の程度別に内服薬、外用薬を処方する。
「遺伝的要因の大きいAGAは、時間とともに進行するため、その時計の針を巻き戻し、細く短くなってしまった“毛”を、太く長かった“髪”に戻るような治療を行います」(小林さん・以下同)
また、聖マリアンナ医科大学や日本医科大学形成外科学教室と医療連携し、最先端の研究を続ける一方で、診療現場では精神科、皮膚科、形成外科などの医師が症状に合わせた治療を行う。
「発進効果が期待できる治療期間の1つの目安は約1年です。そこから先は進行をいかに遅らせるかが目標となる。根気強く治療を続けていただく必要があります。基本的に治療開始後の1年は毎日薬を服用しながら、月に1度の通院が必要です。それ以降は服用頻度や量を調整しながら継続し、AGAの進行を克服していくのです。60代より50代、50代より40代と、若い年代での対策がより有効です」
鉄は熱いうちに打て、ということか。
※女性セブン2019年11月21日号