人前で涙を見せることがほとんどない現代人。年をとればとるほど、素直に泣けない場合が多い。そんな現代人に、積極的に涙を流すことで健康になる「涙活」を勧めるのは“なみだ先生”こと感涙療法士の吉田英史さんだ。
人は涙を流すと、戦闘モードである交感神経からリラックスモードの副交感神経にスイッチが切り替わるという。そのため、吉田さんはストレス解消には週1回泣くことが効果的だと勧めている。涙の効用のため週1回は泣こうと思えば、自分が泣ける“ツボ”を押さえておきたい。
最近は“泣ける”映画やCM、小説、絵本、“泣き歌”など、涙を誘う材料もたくさんある。
「動物、子供、恋愛、夫婦愛、親子愛、別れ、家族、命、アスリートなどのテーマは王道。映画では、希望を捨てずに生き抜く姿を描いたアメリカ映画『ショーシャンクの空に』、家族愛があふれるイタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』、戦争を題材にした日本映画『おかあさんの木』、秋元康さん原作の『象の背中』、小説では、百田尚樹さんの『永遠の0』、浅田次郎さんの『帰郷』などはおすすめで、セミナーで使うこともあります。
また先日は30年くらい泣いていないという60代の男性が、鉄拳のパラパラ漫画『振り子』で大泣きし、すっきり顔で帰って行かれました。でも“泣きのツボ”は年齢性別にかかわらず、本当に人それぞれ。人生の重要な思い出やこだわりと関係しているのです。世に出ている“泣ける”映像や本などを手掛かりに、自分だけのツボを探っておくといいですね」(吉田さん)
ちなみに高齢者が涙もろいのは、長い人生経験から共感できる要素がたくさんあるからだという。映像でも本でも、高齢者こそ“泣ける”材料の探し甲斐があるのだ。
「高齢者を対象にしたセミナーでは、みなさんよく泣かれるし、作文も奥が深い。戦争や貧困、子供時代、夫婦、親として、孫ができてからと、いろいろな時代、立場の悲喜こもごもがある。拝見していると、その時々の感動や悲しみを吐き出したい、人に聞いてもらいたいのだと感じます。だから、“泣かないで”ではなく、“泣いていいよ”と言ってほしい。そしてどんどん泣いてください」(吉田さん)
※女性セブン2019年11月21日号