中国政府は大規模災害や戦争など緊急事態に備えて、大量の備蓄米を保存しており、トウモロコシや小麦、大豆などの他の穀物も加えた総量は約6億3000万トンであることが明らかになった。政府は備蓄米の乾燥のために安価な石炭を使ってきたが、石炭の燃えかすの粉塵がコメを汚染していることが判明。
新たな乾燥方法として二酸化炭素を使うことも検討されているが、その費用が約1兆元(約17兆円)かかることが分かり、担当者や研究者らは頭を抱えている。
ネット上では「政府の無計画で杜撰は保存方法が原因。1兆元もかかるのならば、アメリカから輸入した方が安いのではないか」などとの批判の声が殺到している。中国国営の中央テレビ局が伝えた。
中国政府はこれまで備蓄米の存在を秘密にしており、6億3000万トンもの備蓄穀物の存在が明らかになったのは初めて。これはとあるテレビ局が11月初旬、中国各地に存在している備蓄米の倉庫群の1つを詳細にレポートしたことから分かった。
なぜ、中国政府がこれだけのコメや穀物を保存してきたのかについて、レポートでは、1959年から1961年の3年間、中国を襲った大飢饉の教訓があるとしている。これは当時の最高指導者の毛沢東が工業の現代化を急ぐあまり、農民を総動員して鉄鋼生産を行ったため、農民は農産物を生産できずに種籾も食べつくしたことから、食糧が枯渇し、一説には数千万人以上が餓死したという。
その後のトウ小平氏らの最高指導部は、万一のために備えてコメを保存するよう指示したという。しかし、さすがのトウ氏も適切な保存方法まで指示できなかったようだ。