「触診」とは医師が患者の体に触れることで異変を探り出す診察だが、患者自身が自分の肌の感覚の異変から重大疾患に気付けることもある。秋津医院院長で内科医の秋津壽男医師が注意を促すのは「顔面」の感覚の異常だ。
「脳神経に腫瘍ができると、まず顔の皮膚感覚に異常が生じます。顔を触った際に他人の顔に触れたような気がする場合、脳腫瘍を疑うべき。さらに洗顔した際に“ピリッ”とした痛みを感じたらすぐ受診しましょう」
手足の触覚に異変が起きた場合も要注意だ。
「お風呂に手足が浸かった時に湯が熱いか冷たいかわかりにくかったり、指先が何かに触れた時にひと皮被ったような違和感があると、脊柱管狭窄症や頚椎ヘルニアで感覚神経が圧迫されている可能性があります。寝ている時に神経が圧迫されるので、これらの異変は朝方に出やすくなります」(同前)
顔や指先に異変が生じた場合、どの科を受診するかにも注意を払いたい。
「単なる痺れではなく、神経が圧迫されることによる感覚の低下なので、神経内科を受診してください。整形外科では神経系の症状を見抜けないケースがあるので気をつけてほしい」(同前)