火災で焼失した首里城(沖縄県那覇市)の再度の復元にあたっては、技術的な課題が少なくない。
首里城といえば、あの独特の赤い瓦が印象的である。前回の復元では、沖縄屈指の赤瓦職人と言われた奥原崇典氏が中心となり、正殿の5万5000枚分を含む、計22万枚の赤瓦を焼いた。だが、その奥原氏は5年前に亡くなっており、赤瓦の確保も容易ではない。
また、赤瓦を葺くのは、漆喰の技術を持った職人の手によることになるが、沖縄県琉球赤瓦漆喰施工協同組合の関係者はこう話す。
「首里城の再建は県民の悲願ですから、絶対にやらなければならないことだと考えています。ただ、赤瓦を扱える職人は年々少なくなり、高齢化も進んで50代くらいが中心。かつての復元に携わった人は、すでに現場を離れて80代になっています。
きちんと施工できる職人になるには、3年から5年は必要と言われていますので、首里城のように規模が大きく、技術的にも高いものが求められる現場で通用するような職人を確保するのは大変です」
正殿に使用されているヒノキも不足しているなど、課題は山積である。
※週刊ポスト2019年11月22日号