5年ぶりのリーグ優勝を果たすも日本シリーズではソフトバンクを相手に無残な4連敗に終わった原巨人。課題は数多いが、違った視点から巨人の問題を指摘するのは、V9時代前半のエース・中村稔氏(81)だ。
中村氏は「今の巨人はOBの意見に耳を傾けない空気がある」と言う。
「東京ドームに視察に行った時、食堂でメシを食っていたら、副代表が来て“今年からここにはOBの方は入れなくなったんです”と頭を下げてきた。以前はこの食堂で、私が気づいた現役選手の異変を本人に伝えていたのに、それができなくなった。
メルセデス(25)の膝が割れることや、菅野のフォロースルーが足りないこと、宮國(椋丞、27)の投球フォームのバランスなど、今シーズンは指摘できなかった修正点があった。OBの声が届かないもどかしさはありますね」
今の巨人に対して、1980年代の巨人打線の中軸を担った“絶好調男”の中畑清氏(65)は「もっと闘争心を剥き出しにしろ!」と激励する。
「戦う魂は巨人にもソフトバンクにもあると思うんだよ。だけど、球際の最後の詰めだったり、最後まで最善を尽くすゲームに臨むという、その必死さ、きめ細やかさに差があったんじゃないか。力のある選手がそれをやれば、絶対に負けることはないよな。
今の巨人に必要なのは、下積み、準備、とことん鍛え抜く姿勢。そういう精神力の強さを持ってグラウンドに立つ。その準備をしっかりやって、来季に挑戦してもらいたいね」
※週刊ポスト2019年11月22日号