各界の成功者たちは、ある共通体験をしている。子供の頃に読んだ本が、その後の人生に大きな影響を与えたというのだ。ソフトバンクグループを率いる孫正義・会長は、歴史上の偉人に影響を受けた。
「15歳で司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んで人生観が変わり、16歳で脱藩するように高校を中退して渡米した」──2017年、坂本龍馬に関するイベント会場でそう語った孫氏。
「その後も創業時や入院時など人生の節目で読み返し、龍馬の考え方や精神が私の指針になっている」と語ったこともある。
クリエイティブな分野で才能を発揮する芸術家はどうか。
1960年代から第一線で活動する美術家・横尾忠則氏は、本を読まない少年時代を過ごしたという。しかし、中学生時代に例外的に読んだのが、江戸川乱歩の「少年探偵」シリーズの『青銅の魔人』、南洋一郎の『バルーバの冒険』だった。『SAPIO』(2017年11・12月号)で、どちらも挿絵に惹かれて読んだことを明かしている。
〈僕の中では、小林少年たちが閉じ込められるお屋敷の地下室と、南洋の密林の洞窟がつながっているんです……その2つの世界を何度も作品のモチーフにしてきました〉