若手の女流囲碁棋士らが自らクラウドファンディングで資金を集め、企画・制作した写真集が完成した。その名も『女流棋士フォトブック』。対局では決して見せない女流棋士たちの素顔やコスプレ姿の写真、さらにはインタビュー記事など、内容も盛りだくさんだ。日ごろ対局で忙しい棋士が、なぜ自主制作で写真集を作ることになったのか──。囲碁ライターの内藤由起子氏が取材した。
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『女流棋士フォトブック』プロジェクトの中心的役割を果たしたのは、木部夏生二段と星合志保二段だ。
女流棋士は指導対局や解説会で直接ファンと交流することが多い。そんな機会を通して、星合二段は常々、「囲碁が好きで対局を楽しむ人は多いのに、棋士を知らない人が多い」と感じていたという。
そこで昨年末、若手棋士主催のクリスマスイベントで入門講座を行った際に16ページの小さな冊子を作った。イラストが得意な木部二段が、ルール説明のほか棋士の写真や文章を入れたところ、思いのほか好評だったという。
星合二段は、「またこういう冊子ができたらいいな」「棋士をもっと知ってほしい」「もっと新しいことがしたい」「碁を知らない人にもアプローチしたい」など、募る思いを先輩の謝依旻六段に相談したところ、「どうせやるならめっちゃ大きくやろう。クラウドファンディングという手法もあるよ」とのアイデアをもらった。
「クラウドファンディングといっても最初はぴんときませんでした。まったく未知の方法でしたし、現実味がなくて……。いろいろ調べて見ると、お金が集まっていないプロジェクトもあって、不安のほうが大きくなりました。一般的には私たちの知名度はないと思っていましたしね」(木部二段)
それでも、赤字になったら木部二段と星合二段で補填するつもりでプロジェクトは走り出した。写真集に登場してくれる棋士にも謝礼が出せるか分からない状況だったため、「それでもいいよ」と言ってくれそうな親しい棋士に声をかけていった。