国内

殺人猛暑の行きつく先、熱帯地方の感染症が日本国内で拡大も

干上がったライン川(時事通信フォト)

 確実に気候変動を痛感することが増えているといえる昨今。ここ数年の8月は最高気温が35℃を超える日が続き、熱中症による搬送者も増加。2018年には過去最高人数を記録した。さらには、豪雨に洪水、台風と自然災害も続発している。

 衣食住にまつわる生活の大きな変化に加えて、気候変動で新しい病気が発生する恐れもある。自然災害に詳しい武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんはこう言う。

「マラリア、デング熱などの伝染病を媒介する蚊は寒い冬を越せません。そのため日本ではこれらの伝染病が根絶されていますが、温暖化で暖冬になると蚊が一年中生息できるようになり、熱帯地方の感染症が国内で一気に拡大する恐れがあります。世界中の人々が飛行機で行き来する時代なので、国内への侵入を回避するのは困難です」

 殺人猛暑に相次ぐ洪水や台風の先に、どんな未来が待っているのか。

「日本では大雨や洪水で降水量が増える一方、世界ではドイツのライン川が干上がるなどの干ばつが続くなど、水不足による砂漠化が一層深刻になっています。米カリフォルニアで発生した大規模な山火事も干ばつと熱波が原因といわれている。つまり、地球規模では雨が集中して降るところと、降らないで乾燥するところが極端になっている。これも地球温暖化の1つの表れです。この先日本でも砂漠化する地域が出てくるかもしれません」(島村さん)

 時として気候は人間に牙をむき、思わぬ災害をもたらす。しかし、よく考えてみれば地球の誕生以来、氷河期や太陽活動の活発期など、気候は人知を超えるスケールで揺れ動いてきた。

 気象予報士の森田正光さんは「これからは人間が気候に合わせることが必要です」と指摘する。

「そもそも気候は人間がコントロールできないものです。これからの日本は昔のようなわかりやすい四季がある国には戻れない可能性が高いですが、そのことを自覚して天気や気温の声にしっかりと耳を傾けて、やって来るリスクに備えることが何よりも大切です」(森田さん)

※女性セブン2019年11月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン