中国人がお祝いの席で爆竹を鳴らすことは広く知られている。魔除けと幸運を呼び込む狙いがあるという。が、だからといってどこで鳴らしても許されるわけではないようだ。拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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「お勤め、ご苦労さまでした!」。刑務所の出口で待ち構えていた舎弟たちが大声で出迎える。映画やドラマでよく見かけるシーンだが、こちらは少し違っていた。
場所は中国の雲南省、少数民族イ族が住む観光地である。そして問題の男が出てきたのは刑務所ではなく拘置所であった。
同地に住む黄という男が飲酒運転で拘置されたのは8月中旬のことだった。それから約1か月の拘置の後、出てきたのが9月18日。黄の出所を喜んで友人が集まり出迎えたのだが、彼らは早速街へと繰り出し、祝いの宴を催した。
しこたま酒に酔った一行は、この後再び拘置所へと引き返す。途中、大量の爆竹を買い込んだ。
そして夜になるのを待っていた黄のグループは、日が暮れると大声を出しながら拘置所に車を横付けすると爆竹を投げたのである。中国の爆竹は日本の爆竹とは違い火薬の量が桁違いに多い。警官たちが突然の襲撃だと誤解しても不思議ではなかった。
当然、すぐに拘置所を守る武装警察が10名ほど駆け付け来た。これを見て友人たちは逃げ出したが、黄は大胆不敵にそこにとどまり、さらに爆竹を4発投げつけた。
結局、黄はその場で捕らえられ出てきたばかりの拘置所に逆戻り、14日間留め置かれた。そして黄と一緒に爆竹を投げた焦という男も捕まり、7日間拘置所に送られたという。漫画のようだが本当の話だ。