昨年7月からの米中貿易戦争が長引くなか、米国を訪れる中国人観光客が落ち込んでおり、昨年は前年比で20万人減少の299万人と、大台の300万人を割り込んだことが明らかになった。これは全体の6%減となり、これまで2桁成長を続けてきた中国人観光客数は14年ぶりに減少に転じたことになる。
このため、首都ワシントンDCや米最大の都市ニューヨークのほか、西海岸のロサンゼルスや自然が豊かなアリゾナ州やユタ州などでも、中国人観光客の回復を目的としたキャンペーンを開始している。しかし、中国政府が国営企業に対してビジネスのための渡米を避けるよう求めているほか、観光業者に対しても米国観光を控えるように圧力をかけているとの情報もあり、中国人観光客減少に歯止めがかけられるかは疑問視されている。
米商務省は11月に入り、外国人観光客による米国内での消費額が14カ月連続で前年同月を下回ったと発表した。その大きな原因が中国人観光客の減少だ。
米国にとって中国は世界3位の観光客の供給国であり、中国人観光客1人の米国滞在中の平均消費額は5800ドル(約62万円)と世界一だ。
観光客数が1位の英国人の観光客1人当たりの平均消費額は2500ドルと中国人の半分以下で、中国人観光客の減少は米観光業界にとって大きな痛手となっている。
例えば、アリゾナ州では2010年から2017年までで中国人観光客の数が4倍に増えていたが、2018年には3.7%減と、初めて減少に転じた。ニューヨークも今年1月~6月の中国人観光客の消費額は前年同期比11.2%減少。2018年の消費額は全米全体で346億ドルと前年比2%減と、これも観光客数と同様、14年ぶりの減少となった。ハワイでも今年1月から4月までの4か月間に訪れた中国人観光客数が前年同時期と比べて23%以上減少するなど、各都市とも昨年から今年にかけて軒並み減少傾向を示している。