2019年シーズンが終わり、侍ジャパンが熱闘を繰り広げた「プレミア12」が幕を閉じれば、プロ野球の話題は来季の新戦力と構想に集まる。移籍組はもちろんだが、“怪物級”の高卒新人の動向からも目が離せない。
令和初の甲子園を沸かせ、ヤクルトの1位指名を受けた奥川恭伸(18・星稜)は、愛媛・松山で行なわれている秋季キャンプでブルペンを見学。「今後は(ツーシームやカットボールのように)打者の手元で動く変化球が投げられたら楽になると思う」と課題に言及した。
この姿勢を高く評価するのは、“マサカリ投法”で知られる村田兆治氏だ。
「高校では指導者に従って練習してきたと思いますが、プロではまず自分の力量や弱点を把握することから始まります。その上で、どうしたら改善できるかを分析する力が求められる。その意味で、新たな変化球を習得したいということは、自分の中で目指すピッチング像があるのでしょう。そういう意欲は素晴らしいので、あとは実行力だけですね」
高卒新人で奥川と並ぶ“二大エース”といわれるのが、ロッテのドラ1右腕・佐々木朗希(18・大船渡)。最速163kmの直球を持つ一方、「指に血まめができやすいとされ、体もまだ出来上がっておらず肘や肩の故障リスクが懸念されている」(スポーツ紙デスク)という状況だ。
そんな中、ロッテは今年度中にスポーツ科学の分野で日本最先端の設備を備える順天堂大学医学部付属病院と提携し、選手の健康管理のサポート態勢を整えたと発表した。
佐々木にとって朗報……かと思いきや、ある現役コーチはこんな見方をする。
「佐々木は日本球界の宝ですから、預かっているロッテとしては“最善を尽くしている〟というポーズなのでしょう。でも、正直に言えばかなり過保護。佐々木は体力さえつけばプロで通用すると思うが、それまでの育成は長期プランになるでしょう」
※週刊ポスト2019年11月29日号