国際情報

日韓外交「言った」「言わない」と双方の説明が真逆になる訳

韓国大統領府の報道官(写真/EPA=時事)

 日韓外交では、「言った」「言わない」と双方の説明が真逆になることは珍しくない。“ホワイト国”除外を巡る今年7月の日韓事務レベル会合でも、「措置の撤回要請はなかった」とする日本の経産省サイドの説明に対し、韓国側は「日本に遺憾の意を表明し“原状回復を求める”という言葉で撤回を要請した」と“上から目線”で猛反論。さらに日本側が会見でこれを否定する事態となった。

 経産省はこうした経緯を踏まえ「信頼関係に基づいた対話は難しい」と態度を硬化。対話がさらに溝を深める結果となった。

 11月4日、タイ・バンコクで開かれたASEAN会議では、日韓首脳が約1年ぶりに個別に会話を交わしたが、その内容についても、日韓の認識にはズレがある。

 翌日の韓国メディアは大統領府報道官の談話として、

〈大統領と安倍首相は非常に友好的で真摯な雰囲気の中で歓談した〉
〈安倍首相は懸案事項について「あらゆる方法を通じて解決案を模索する努力をする」と答えた〉

 と報じたが、西村明宏・官房副長官がこの大統領府発表を大幅に訂正。韓国側が“友好的な歓談”と位置付けたやりとりは「言葉を交わしたという理解」で、懸案事項の解決についても「従来と同様の方法で(解決方法を探る)」と応じたのみだったというのだ。

 さらに、韓国大統領府がこの様子を“無断撮影”しリリースしていたことを産経新聞が報じた。いかに韓国が融和ムードを演出したがっていたかが窺える。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏はこう話す。

「日本側は挨拶程度のつもりが、韓国は写真を内外に公開した。米中や北朝鮮とも関係が悪化する中で外交的孤立感を払拭する狙いがあったはず」

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