引退から11年を経て、桑田真澄が母校のユニフォームに再び袖を通した。マスターズ甲子園に初出場したPL学園硬式野球部OB。その応援に、卒業生やPL教団信者、総勢約1400人が甲子園に詰めかけた。
「ベンハー」「サンダーバード」、オリジナル応援曲「ウイニング」など、KK(桑田、清原和博)コンビが活躍した黄金期に奏でた曲をメドレーで演奏し、約630人が巨大人文字を描いた。まるで1980年代にタイムスリップしたかのようだ。
今年1月に野球部のOB会長に就任した桑田は9月下旬に学園を訪問し、理事長や校長に出場を報告。同席した聖友会(学園のOB会)関係者によると、病床にある三代目教祖・御木貴日止の代理が「人文字応援を許可します」とお墨付きを伝え、こう話したという。
「マスコミは廃部などと言っていますが、近い将来、おしえおやさま(教祖のこと)は復活を考えていらっしゃいます。まずは指導者を探しましょう」
今回の応援にあたり、教祖から1000個のオペラグラスがプレゼントされた。復活を信じる高校野球ファンからすれば、まさに光明かも知れない。
だが、休部の経緯を詳しく記した拙著『永遠のPL学園』(小学館文庫)をまとめて以降も教団の規模は細り、学園の生徒は1学年50人。存続の危機にあり、野球部の復活への道は遠い。
■取材・文/柳川悠二
※週刊ポスト2019年11月29日号