「なぜこのタイミングなのか…後輩たちへの影響を誰よりもわかっているはずなのに今回ばかりは不可解です。周囲は会見することも、訴訟を起こすことも直前まで反対していました。でも、どうしても本人の気が済まないようで…」(スケート連盟関係者)
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終第6戦のNHK杯が11月22日から北海道・札幌市で始まる。羽生結弦選手(24才)や紀平梨花選手(17才)にとって、GPファイナルに向けた“最終決戦”の直前に、織田信成(32才)が濱田美栄コーチ(60才)を提訴した。
発端は9月。織田が2017年から務めていた関西大学アイススケート部監督を退任したことだった。大学側はその理由に織田の多忙を挙げたが、織田は濱田コーチの無視や陰口といった“モラハラ”があったと主張。精神的苦痛によってリンクに立てなくなり、それが退任の原因だったと反論していた。
織田は11月18日に会見を開き、濱田コーチに慰謝料など損害賠償1100万円を求めて大阪地裁に提訴したことを明かした。
会見では涙を流しながら、「年が30才ほど離れていて、激高されることもあり、何も言えなかった」と語っていた織田。一部では、濱田コーチを“関大の女帝”と称するメディアもあったが、関大関係者は違和感を拭いきれないという。
「濱田コーチは練習しない選手には厳しく、練習する選手には自分の時間をすべて注いで向き合います。指導している宮原知子選手(21才)や紀平選手の開花も、濱田コーチのそうした手腕の成果です。そもそもフィギュアスケートは、選手同士で力を合わせるものではなく、コーチと二人三脚で臨む競技。熱心な指導は不可欠です。その点、濱田コーチはバランスの取れた指導者だとされていました。
濱田コーチはモラハラをする人には見えない。織田さんは関大のリンクにあまり来ていなかったので、そんなに接点があるようにも見えないのですが…」(関大関係者)
その織田については、こんな声も聞こえてくる。
「織田さんはコメンテーターとしての話術は天才的。松岡修造さんのように感情豊かで、勝っても負けても泣くところは、本当にスケートを愛しているんだなと感じます。一方で感情の起伏が激しく不安定と見る人もいます。選手時代も演技の出来が極端でしたし、些細なことでも気になることがあると、冷静さを失いがち。今回の訴訟も、もう少し周囲の状況を見てほしかった、というのが正直なところです」(別の関大関係者)
今、羽生選手らにとっては重要な時期。このタイミングでの提訴を重く見る向きもある。