「結婚」とは、恋愛のゴールか。夫婦のスタートか。はたまた人生の墓場か……。女性死刑囚との獄中結婚を描きながら、結婚とは何かを問いかける漫画『夏目アラタの結婚』が話題となっている。
今年6月にコミック誌『ビッグコミックスペリオール』で連載が始まった同作を描くのは、『医龍 -Team Medical Dragon-』などでも知られる漫画家の乃木坂太郎氏。その乃木坂氏に、制作秘話を聞いた。
──主人公の夏目アラタは、勤務する児童相談所で出会った児童からある日「父を殺した犯人に会って来てほしい」と言われ、東京拘置所に面会に行きます。相手は【品川ピエロ】という異名を持つ女性の連続殺人犯、品川真珠。児童の父親の死体の一部の在り処を聞き出す目的で、結婚話が持ち上がります。そもそも本作で結婚をテーマにしようと思われたのはなぜでしょうか?
「『獄中結婚ってどうですか?』という話が担当編集からあって、面白いと思ったのがきっかけでした。それを舞台にしながら、普遍的なテーマを持っている『結婚』を切り口に広げていこうという感じで決まりましたね。
結婚相手を見つけるのって難しいよなあとか、条件ありきで結婚相手を決めるものなのか、という日常的な疑問もあった。結婚について一瞬でも考えない人ってきっと、いないと思うので、男女問わず興味を持ってもらえるのではないかと」
──アラタは結婚に関して、11月29日発売のコミックス第1集の中で「自由がなくなる」とか「換気扇の下でタバコを吸わないといけなくなる」とか、ネガティブなイメージしか持っていないような描写が多いのですが、そういった思いは先生も抱いている……?
「僕は結婚していますが、実は、夫婦円満でして(笑い)。アラタと全く逆でポジティブな印象しか持ってないんです。結婚っていいなあって思っているところなんですよ(笑い)。でも、ぶっちゃけ、相手が今の奥さんでなければアラタのように思ったかもしれない」
──そういう人と出会えるかがなかなか難しいところですよね。
「その部分も含めて、結婚というテーマはいろいろ掘り下げられるポイントがあると思っています。出会うから結婚するって部分もあるだろうと思うのですが、じゃあその出会いの意味って何なのか、何があったら結婚ってGOなのか。自分なりの結婚に対する答えみたいなものにもたどり着けたらいいなと思っています」