『映画 すみっコぐらし』が大人気だ。11月8日の公開以来、2週連続邦画1位、動員は33万人を超え、興行収入も4億円を突破している。子ども向けと思われそうなわずか65分の可愛らしいアニメーション映画だが、意外にも大勢の大人、しかも男性までもが涙している。いったいなぜなのか──。自身も“すみっコファン”だという作家の内藤みか氏が分析した。
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11月16日土曜日。580席定員のスクリーンが満席状態の新宿の上映館で『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』を鑑賞した。大学生の息子が「すごく人気で泣けるらしいのでどうしても観たい。でもひとりじゃ行きづらいから一緒に行ってほしい」と言うので付き添った。
場内には親子連れのほかに、女性同士やカップル、それからおひとりさまの女性客の姿も目立つ。上映前にのぞいたグッズコーナーはほぼ完売状態で、すでに棚が空っぽだった。
そして映画がクライマックスにさしかかると、その切なさに感極まったのか、まず、子どもが大きな声で泣き始めた。普通の泣き声ではない。ほんとうにつらそうに悲しそうに、大号泣しているのだ。それを皮切りにあちこちでも子どもたちが泣き始め、私の隣の一番すみっこの席に一人で座っていたお姉さんもハンカチを目に当てている。いろいろなところで大人が鼻をすする音が聞こえる。私も泣いた。エンドロールが涙でかすんでよく見えないほどだった。