テレビで映画の話題作が放送されるのを待つというのはもう過去の“習慣”なのか――。テレビで放送される映画の視聴率が低迷している。一部のヒット作をのぞけばほとんどが一桁台という有様だ。なぜ低視聴率化が進んでしまったのか? そして、それでもテレビ局が放送をやめないのはなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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このところテレビ放送されている映画の視聴率が危機的な状況に陥っています。9~11月の3か月間プライムタイム(19~23時)で放送された映画をピックアップしてみましょう。
まず最も映画を放送している日本テレビの「金曜ロードSHOW!」は、9月6日の『名探偵コナン 天空の難破船』(アニメ)8.6%、9月20日の『インビクタス/負けざる者たち』4.8%、9月27日の『僕のワンダフル・ライフ』7.4%、10月4日の『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』7.0%、10月18日の『50回目のファーストキス』(邦画)6.3%、10月25日の『億男』(邦画)6.0%、11月1日の『ナイトミュージアム/エジプト王の秘密』8.8%、11月8日の『IT/イット それが見えたら、終わり。』9.7%、11月15日の『アナと雪の女王』(アニメ)12.9%。
次に、「土曜プレミアム」を中心に映画を放送しているフジテレビは、9月14日の『ステキな金縛り』(邦画)8.8%、9月21日の『清須会議』(邦画)6.1%、9月28日の『ダークナイト』5.5%、10月5日の『マイ・インターン』6.3%、10月11日の『海よりもまだ深く』(邦画)4.8%、10月22日の『スノーホワイト・氷の王国』6.4%、10月26日の『三度目の殺人』(邦画)7.7%、11月16日の『ターミネーター2』8.2%。
歴代興行収入3位の大ヒット作『アナと雪の女王』以外は、洋画も邦画もすべて視聴率一桁で、「危険水域」と言える5~6%も少なくありません。それ以上に驚かされるのは、日本テレビとフジテレビ以外、まったく放送しなかったこと。映画がプライムタイムから消えるきざしが見えるのです。
日本テレビはテレビ朝日との視聴率トップ争いで足を引っ張っているにも関わらず、なぜ「金曜ロードSHOW!」の放送を続けているのでしょうか? また、各局が製作に関わっている映画があるにも関わらず、なぜテレビ放送しない作品があるのでしょうか? 放送し続ける局、放送を避ける局、それぞれの理由が浮かび上がってきます。
◆「話題作の初放送」でも視聴率が取れない