来季のプロ野球新人の話題となると、どうしてもヤクルトの1位指名を受けた奥川恭伸(18・星稜)と、ロッテのドラ1右腕・佐々木朗希(18・大船渡)の二大エースに集中しがち。だが、その二大エースに引けを取らない注目を集めたのが、阪神のドラ1・西純矢(18・創志学園)と同2位・井上広大(18・履正社)だ。
「西純矢はエースの西勇輝(29)の遠縁ということで“W西”と見出しが立ちやすい。2位の井上は『(シーズン)40本以上を必ず打って、本塁打王になりたい』というビッグマウスを披露した。3位の及川雅貴(18・横浜)も『200勝以上という数字を目標にやってもいいのかなと思います』と続いた。景気のいいことを言ってくれるので、担当記者としては助かりますよ」(虎番記者)
阪神はドラ4・遠藤成(18・東海大相模)と5位の藤田健斗(18・中京学院大中京)を含めて上位5位指名までを高卒新人で固めた。この異色のドラフト戦略を疑問視する声は少なくない。
「メッセンジャー(38)が引退し、藤浪晋太郎(25)もメドがたたない。打線も福留孝介(42)や糸井嘉男(38)が主軸。虎党からは“即戦力がほしいのに、社会人や大卒を指名しないのは何故か”という声が多かった」(同前)
しかし、阪神の監督経験もある藤田平氏は「これは阪神の変化の兆し」だと好意的に見ている。
「昨年までの阪神は、監督主導で指名選手を選んできた。うまく育てられればそれでもいいが、数年で監督が変わり、育ってこなかった。それが、今年からはフロント主導で将来を見据えた補強をやっているようです。失敗にようやく気づいたということではないか。プロは甘い世界ではないが、キャンプが始まってもビッグマウスを叩いた気概でやってもらいたい」
※週刊ポスト2019年11月29日号