生き物の知られざる生態を紹介した『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(高橋書店)が小学生の間で大人気となっている。シリーズ累計での売り上げは350万部を超え、昨年、全国12万人の「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」(ポプラ社主催)では、同シリーズの監修を務める動物学者・今泉忠明さんが1位に輝いた。
そこで、今回はそんな今泉さんに生き物の「寿命」について解説していただいた。1万年生きるといわれるカメの寿命はどれくらいなのか?
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今年10月6日、ナイジェリアでカメの「アラバ」(現地語で長生きの意)が344才で死んだと発表されましたが、品種から見て、ここまでの長寿には疑問視する声も。
一方、存命中の陸生動物では、南大西洋にあるセントヘレナ島に暮らすアルダブラゾウガメの「ジョナサン」が世界最高齢といわれ、推定187才。
長生きの秘訣は、ずばり食事です。灌木の枝ばかり食べていたジョナサンですが、栄養の偏りから2014年に衰弱。その後、地元の獣医がりんごやにんじん、きゅうり、バナナ、グアバなど栄養価の高い食べ物を与えると、すっかり元気になりました。
同じカメでも半水生のクサガメと陸生のゾウガメでは食べる物が違う。それぞれの体質に合う主食やビタミン、ミネラルなどがあるので、ペットのカメにジョナサンと同じ食べ物を与えても、長生きするとは限りません。
【アルダブラゾウガメの基本データ】
大きさ:甲長100ccm
生息地域:インド洋と太平洋東部の島々の乾燥地や草原
好きな食べ物:サボテンや果実、草、小枝などの植物
毎日の健康法:日光浴
◆ご長寿小噺「クサガメはかつおがお好き」
和歌山県出身の博物学者・南方熊楠(1941年逝去、享年74)が飼っていたクサガメの「お花」も100才超えの大往生。2001年に老衰で亡くなった。長寿の秘訣はエサの「かつお」だったとか。
※女性セブン2019年12月5・12日号