芸能

「ねるとん」復活でも石橋貴明の笑いにスキが多い理由

石橋貴明の笑いとネットの相性は?(イラスト/ヨシムラヒロム)

石橋貴明の笑いとネットの相性は?(イラスト/ヨシムラヒロム)

 ネット番組では、恋愛リアリティショー花盛りである。対象年齢、ゴール設定のシステムなど、様々に模様替えされた番組があふれている。1990年頃に大ブームとなった集団お見合いの代名詞「ねるとん」が、『石橋貴明プレミアム』(AbemaTV)の第4弾としてよみがえった。ここ数年は、テレビで彼ららしい企画を遂行するたびにネット炎上していたとんねるずの石橋貴明だが、『恋する沖縄48時間 ムーンビーチでタカさんチェック!』では、往年の輝きを取り戻していたのか。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、石橋貴明の芸風と、ネット番組との相性について考えた。

 * * *
 石橋貴明はAbemaTVに『石橋貴明プレミアム』という冠番組を持っている。約4ヶ月に一度の不定期配信なので知名度は低いが……。過去3回、毎度異なったテーマで番組が作られているが11月に配信となったのが『恋する沖縄48時間 ムーンビーチでタカさんチェック!』。約30年前に一世を風靡した番組『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)の人気企画「集団お見合いパーティー」を自身でリメイクした。

「元祖恋愛リアリティショー復活」という触れ込みだったが、30年前と同じ石橋特有の「ギョーカイ」ノリと現代のリアリティショーの要素が混ざった結果、どっちつかずの内容となっていた。

 メインは沖縄での48時間「集団お見合いパーティー」である。沖縄に住む男性10人(30歳を超えた人も多い)と関東在住の女性6人が愛を育んでいく様子を石橋がレポートしていく。海で遊んだり、BBQをしたり、と撮られる映像はありきたりだ。しかし、何せテーマが重い。「結婚」である。女性は将来的に沖縄に移住してまでも結婚したい男性を探す。

 確か『ねるとん』のゴールは「交際」だったはず。全盛期を僕は知らないが、ある種の軽薄さこそ高視聴率番組となった要因の一つだと思う。しかし、『バチェラー・ ジャパン』の影響によってだろう『恋する沖縄48時間』は「結婚」という目標を無闇に掲げてきた。当たり前だが、48時間で結婚相手を探すのは難しい。なおかつ女性出演者のほとんどがタレントだ。彼女たちの目標は「結婚」よりもカメラに長く映ることにあるのは言わずもがな(そのためには結婚に前向きなフリをしなくてはいけないが)。

 長い期間をかけて愛を育む『バチェラー』ですら、「結婚」というゴールをギリギリで保っている状態である。『恋する沖縄48時間』にリアリティを感じることは難しく、結果的に現実感が欠ける珍しい恋愛リアリティショーとなっていた。

 こんな沖縄編のVTRを石橋、山里亮太(南海キャンディーズ)、吉村崇(平成ノブシコブシ)、満島真之介、みちょぱこと池田美優が観る。これがスタジオパートとなる。男女のやりとりをタレントがコメントするといった要素は『テラスハウス』を参考にしているのだろう。おそらく制作陣は『テラスハウス』同様、山里による鋭い批評を期待したはずだ。しかし、最後まで彼の真価が発揮されることはなかった。

 山里の人物評は『テラスハウス』という男女の共同生活を定点観測する番組の特性ありきで発揮される能力だ。些細な言動も見逃さない山里の慧眼が導き出す、観察対象すら気づいていない癖をえぐり出し、表面ではなく深い部分をいじる。ゆえに他のタレントには真似できない芸当となる。

 しかし『恋する沖縄48時間』の場合、VTRの時間が短い。深い部分を論じるほどの情報量が山里に提供されない。それは視聴者も同じで、出演者の情報が多く開示されることはない。結果、最後まで誰にも感情移入ができない。イラつく言動を繰り返す出演者を山里が一刀両断して「スッキリ」、なんてシーンが流れることもない。

関連記事

トピックス

石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト