お笑い芸人ジャルジャルの福徳秀介さんが、11月22日に絵本『なかよしっぱな』を発売した。いとこで絵本作家の北村絵理さんとの共作である。ジャルジャルといえば、持ちネタ8000本以上、そのコント動画を毎日YouTubeにアップし、累計再生回数2億5000万回を突破している。大晦日には108ものネタを披露する8時間超えの単独ライブも開催予定だ。そんな、自他ともに認めるコント職人であるジャルジャルの福徳さんに、絵本制作の裏話やコンビの絆について聞いた。
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◆絵本のストーリーもコント制作もフレキシブルに
僕らジャルジャルは、コントも漫才も台本を書いたりはしません。いつも相方の後藤と一緒にジャズのように作っていきます。絵本の場合は一人ですから、ひらめきが下りてきたときに、パッと勢いで書いていくことが多いですね。
絵本を書いたきっかけは、いとこです。昔からいとこの絵理がめっちゃ絵がうまかったんです。正月にみんなで集まっているときも、すき焼きも食わずにずっと絵を描いていたのを憶えています。数年前に家に行ったときに、絵理が描いた絵を見て、「おれが話を考えるから、一緒に絵本つくらへん?」って誘ったのがきっかけでした。それで、『まくらのまーくん』という絵本を作って、タリーズの絵本のコンテストに応募したら、大賞をいただけまして。それで、また絵本作ろう!となったのです。
今回の絵本では、「仲良しな話」という軽いリクエストがあったので、鼻の穴って2個やし、ええかなと思ったのが始まりです。ちょうど鏡を見ていて、左と右ってちょっと違うなぁと思ったときだったので、タイミングがばっちん合いました。「みぎっぱな」「ひだりっぱな」という言葉の響きも、バチコン、バチコン、と決まって、気に入っています。
当初のストーリーは、実は全然違うものでした。右の鼻の穴を擬人化したらそこには目鼻があるんで、右の鼻の穴の右の鼻の穴のさらに右の鼻の・・・・・・っていう、壮絶にややこしいものを考えていたんですけれど、編集者さんと相談して違う方向でいきましょう!ってなって。急に方向が変わっても、わかりましたー!ってすぐに方向転換できますね、僕はそういうタイプ。コントをたくさん作っているので訓練ができています。
◆何でも擬人化して見ています
今回「穴」が主人公ということで、あまりにも形がなさすぎて悩んだのは事実です。「穴」って実体がなくて空気みたいなもんやし、お話を書いときながら、絵にするのは不可能?と思っていました。作画に関してはいとこの絵理におまかせでした。そうしたら、ものすごく真っ黒な「みぎっぱな」と「ひだりっぱな」があがってきた。想像以上にバリッバリの穴やったんで、なるほど!と、思いました。
僕は普段からよく物を擬人化して考えるんです。空のペットボトルを捨てるときでも、ラベルを剥がしながら、「まるで服を脱がすようやな、ごめんな」って思いつつ分別してます。水とお茶じゃ色も違うし、服(ラベル)の感じもちゃいますよね。水は水着っぽいし、お茶は着物っぽい。コーラは外国人、アクエリアスは中国人、なんかチャイナドレス感がありますね。ファンタは子どもっぽいイメージ。
だからホンマは鼻の穴も、もっとちゃんとした人の形をイメージしていたんですよ。でも、そうすると、鼻の穴に“住んでる人”みたいになってブレてたかもしれないですね。絵理が形にしてくれた「みぎっぱな」と「ひだりっぱな」は、モヤモヤしたものが形になったみたいで、すごい!と思いました。