動物学者の今泉忠明さんが監修した『ざんねんないきもの事典』(2016年、高橋書店)ほか一連のシリーズが子供たちの心をつかみ、爆発的に支持を得ている。そこで今回は、今泉さんに生き物の寿命のふしぎについて解説してもらった。最も長く生きた生き物は動物な一体何なのだろうか?
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これまで記録された動物で、世界最高齢とされているいきものは「貝」。気候変動調査でたまたま捕獲され、死んでしまったアイスランドガイが507才だったと判明しています(2007年、英国)。
この貝が生まれた当時、中国の王朝は「明」の時代だったことから、その名を「ミン」と付けられました。二枚貝はもともと寿命が長い上、生息地が北大西洋の寒冷な海だったことから、ゆっくり成長していたのでしょう。
アイスランドガイは欧米ではクラムチャウダーの具材としてポピュラーな貝で、パッと見では年齢はわかりません。不幸中の幸いで「明」は年齢が発覚しましたが、その大きさは市場でよく見かける平凡なサイズだったといいます。
数百才の高齢“貝”だろうと、おかまいなしにクラムチャウダーに放り込まれている可能性は大いにあるのです。
【アイスランドガイの基本データ】
大きさ:殻長5~10cm
生息地域:北大西洋
好きな食べ物:プランクトン
毎日の健康法:めったに動じない
平均寿命:数百年
◆ご長寿小噺「二枚貝は総じて長生き」
日本では92才のビノスガイが発見され、海外では400才のオオシャコガイも見つかっている。おなじみのアサリですら7~8年生きるという。貝を食べる時は、悠久の時を噛みしめたい。
※女性セブン2019年12月5・12日号