芸能

大人もハマる『仮面ライダーゼロワン』、どこが面白いか

令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』(公式HPより)

 元号が平成から令和になって初めての『仮面ライダー』となる『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系)。「AI=人工知能」をテーマに、ライダーとテロリストが戦いを繰り広げるが、その内容が大人も楽しめると話題だ。同作の見どころについてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 令和仮面ライダーということで注目される『仮面ライダーゼロワン』。主人公・飛電或人(高橋文哉)は、多くの職場で人間の役にたつAIロボット・ヒユーマギアを扱うAI企業「飛電インテリジェンス」の若き社長である。

 だが、「滅亡迅雷.net」というテロリスト集団により、悪と化したヒューマギアが突如人間を襲う事件が続発。或人は仮面ライダーゼロワンに変身して戦う。一方、ヒューマギアを監視する組織エイムズの隊長不破(岡田龍太郎)と刃(井桁弘恵)もそれぞれ仮面ライダーバルカンと仮面ライダーバルキリーに変身。暴走ヒューマギアを食い止めようとする。

 複数の仮面ライダーがそれぞれ武器を駆使し、さらにアイテムを用いて別の顔に変身する。それだけでもかなり複雑な上、最新技術により、天にも届く勢いで跳ぶわ消えるわ、爆発するわとハイスピードの激闘が続く。正直、藤岡弘、のライダーキック世代の私は目が回りそうだが、それでも「ゼロワン」が面白いと思えるのには、ワケがある。

 ワケその1は、主人公が意外にのんきなこと。実は或人は元売れないお笑い芸人なのである。父(山本耕史)亡き後、会社を引き継いだが、外見も茶髪にパーカで、とても社長には見えない。考えてみれば、人間とAIの共存や悪意による操作など、現実的でむちゃくちゃシリアスな話なのだが、そんな状況でも或人はついギャグを言う。それがまったく面白くないのである。彼の横にはいつもチャーミングなヒューマギアの社長秘書イズがいて、彼がつまらないことを言うたびに「あるとじゃーないと!」と付け加え、つまらないムードのダメ押しをするのがお約束だ。

 ワケその2は、大ベテラン世代の活躍だ。第3話「ソノ男、寿司職人」では、跡取りがなく閉店危機の老舗寿司屋の大将(渡辺哲)が、寿司を握るヒューマギア・一貫ニギロー(内野謙太)の技術をチェック。「まずい!」と完全拒否の大将だが、「(ヒューマギアには心がないから)私の心は折れません」とにっこりし、「一万回握って出直してこい」と言われても「一万回でいいのですか?」平然とする一貫ニギローに次第に心を開くようになる。

 一方、第10話「オレは俳優、大和田伸也」では、或人の会社がハリウッドで演技を学んだ二枚目のヒューマギア、エンジ(崎本大海)主演の映画を製作。しかし、共演の大和田伸也(本人)は、記者会見では「絶対セリフを忘れない」とエンジを称えたものの、アドリブに対応できないエンジに対して「芝居ってのは人間と人間のぶつかり合いなんだよ」といらだつ。敵はそんな大和田に目をつける…。

 渡辺哲69歳、大和田伸也72歳。もうひとり、或人が心のよりどころにしているヒューマンギアの開発者にして飛電インテリジェンス創業者、祖父・是之助の西岡徳馬は73歳である。オダギリジョー、佐藤健らが主演した平成仮面ライダーたちは、番組ファンのこどもたちの親世代を魅了したと言われるが、「仮面ライダーゼロワン」は、大ベテランを呼び込んで、こどもたちの祖父母世代にも親しまれるようアピールしているのかも。もしかして或人のおやじギャグもその一助!? クリスマスも間近。ちょっと深読みもしたくなる。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン