栄養豊富とされる野菜の中には、最近になって病気リスクが指摘されているものがある。例えばホウレンソウだ。鉄分やビタミン、ミネラルなどが豊富だが、米国の研究は「尿路結石」との関連を指摘する。
米ハーバード大関連病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院が約24万人規模の医療従事者を対象に、ホウレンソウ摂取が「月に1回未満」「月に1~7回」「月に8回以上」の3群で比較した。その結果、ホウレンソウを月に8回以上食べる男性は、月に1回未満の男性よりも尿路結石の発症リスクが1.3倍高かった。新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師が解説する。
「要因として考えられるのはホウレンソウに含まれるシュウ酸です。シュウ酸が尿路にあるカルシウムと結びつくと尿路結石ができて、激痛が生じます。腎臓内のカルシウムと結びつくと腎結石となります。
ただし、この研究がただちに『ホウレンソウの大量摂取=尿路結石』を意味するわけではない。尿路結石の3大危険因子は『カルシウム不足、運動不足、水分摂取不足』です。ホウレンソウの食べ過ぎを避けつつ、これらの栄養素の不足にも注意すべきです」
低カロリーで食物繊維が豊富な山菜にも、がんのリスクが報告されている。日本国内の男女11万人を2年間追跡調査した「JACC Study」によると、山菜をほとんど毎日食べる男性は、月0~2回しか食べない男性と比べて、膵臓がんを患うリスクが3倍だった。健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏が指摘する。
「ワラビやゼンマイなどの生の山菜には、発がん性物質やビタミンB1を破壊する酵素が含まれます。中でもワラビは、膀胱、盲腸、回腸などにがんを発症させる可能性がある『プタキロサイド』という物質を含みます。これらの成分はアク抜きをすることで取り除ける。山菜を食べる際には水や重曹で丁寧にアク抜きをし、しっかり加熱することが大切です」
※週刊ポスト2019年12月13日号