年末年始、つい飲み過ぎて猛烈な尿意をもよおしてしまい、トイレを探す余裕もなく立小便をしてしまう男性諸兄もいるだろう。だが、立ち小便が罪に問われたケースがある。
ビルの駐輪場で立ち小便をして軽犯罪法違反に問われた男に、大阪高裁は科料9900円の有罪判決を下した。人目に付かない場所で“緊急避難”的に用を足すことはある。逮捕され罪に問われるのはどんな場合か。元検事で弁護士の田中喜代重氏はこう言う。
「逮捕するかどうかは警察の判断にかかってくる。基本的には現行犯になります」
ここでいう「警察の判断」にはどんな基準があるのか。元兵庫県警刑事の飛松五男氏に聞いた。
「神戸の福原で交番勤務をしていた時は、取り締まり強化月間で立ち小便などを数多く逮捕しました。声を掛けて注意するだけなのに、名前を聞いても『うるさい、ボケ』などと捨て台詞を吐いて立ち去るような、逃走の恐れがある場合に逮捕するのです。路上への唾吐きも同様に逮捕しました」
警察は、立ち小便を摘発することが目的というより、「怪しい」と見た人物を捕まえるための“方便”として軽犯罪法違反を用いるらしい。とはいえ、お店の入り口や建物壁面などにしたら、「建造物等損壊罪や威力業務妨害罪に問われる可能性」(田中弁護士)もあるから、やはり公衆便所を探したほうがいい。
※週刊ポスト2019年12月13日号