12月5日、阪神の島本浩也が契約交渉に臨み、今季の年俸850万円から4倍超となる3700万円で更改。335%アップは球団史上4番目の記録となった(金額は推定)。
2010年オフ、育成ドラフト2位で入団した島本は4年目まで年俸300万円。支配下登録された2015年にプロ初登板を果たし、翌年にはプロ初勝利を挙げ、2017年には1100万円まで上がったが、その年は1軍登板なし。背水の陣で臨んだ今季、チーム最多の63試合に登板し、4勝0敗1セーブ、防御率1.67と結果を残した。野球担当記者が話す。
「育成ドラフト入団から支配下登録された阪神の選手は島本含めて4人だけ。かつて巨人が山口鉄也、松本哲也と2年連続で育成出身選手から新人王を出したり、現在のソフトバンクは千賀滉大や甲斐拓也などの主力を輩出したりしている。一方で、阪神は寂しい状況だった。島本のような選手がこれだけ年俸が上がれば、9年目で花開いた点も含め、阪神の他の育成入団選手にも励みになるでしょう」
阪神で過去に300%以上の昇給率を記録した選手は1993年の新庄剛志、2000年の遠山奬志、2002年の井川慶、2008年の桜井広大、2017年の原口文仁、2018年の桑原謙太朗、そして2020年の島本浩也となる。
過去の6選手の翌年を見ると、新庄や井川は好成績を残しているが、桜井や原口は不振に苦しんだ。島本と同じ中継ぎの遠山や桑原は昇級年こそ同じような成績を挙げたが、その翌年は“勤続疲労”が祟ったのか、遠山は防御率が2点台から4点台に跳ね上がり、2年連続60試合以上に登板していた桑原は7試合登板に留まった。
「新庄や井川のように、将来のタイガースを背負うと期待された桜井広大は346%アップという当時の球団記録を作ったにもかかわらず、25試合出場で0本塁打に終わった。そもそも、2008年は91試合出場、9本塁打、43打点という成績で規定打席に達したわけでもない。PL学園出身で、久々の和製大砲候補という期待込みのアップ率だったように感じます。
今年の島本は素晴らしい成績でしたから、大幅アップは当然。ただし、今オフは誘惑が多くなる。阪神は少し活躍すると、すぐにスター扱いされますから、節制を心掛けないといけない。同じ中継ぎの遠山や桑原のかつての例を考えれば、島本はオフにゆっくり休んでほしいですね」(同前)
活躍が1年で終わるのか、何年も続くのかは本人次第。島本のさらなる飛躍に期待したい。