ヤクザの様式美を描いた「仁義以前」の作品も根強い人気を誇る。高倉健主演のヤクザ映画がその代表だ。『網走番外地』(1965年・2位)を始め、『昭和残侠伝』(1965年・5位)、『日本侠客伝』(1964年・6位)と3作がベスト10入りしている。
のちに高倉の主演作『三代目襲名』で脚本を務めた高田宏治氏が、高倉出演作品の魅力を語る。
「戦後まもない1950~1960年代前半のヤクザ映画は、鶴田浩二さんの作品に代表されるように、情念に突き動かされる主人公たちの物語でした。しかし、高倉作品ではそこに理性が加わった。殺した後の虚しさや後悔が描かれたわけです。その哀愁を高倉さんは全身で表現した。様式美の高倉作品もまた、それ以前のヤクザ映画と比べて画期的だった」
引き合いに出た鶴田主演の作品も『人生劇場 飛車角』(1963年)が10位に入った。
◆「題名だけいただきます」
女性目線でヤクザの世界を描いた作品もランクインした。『鬼龍院花子の生涯』(1982年・8位)、『極道の妻たち』(1986年・4位)だ。『鬼龍院花子の生涯』といえば夏目雅子の代表作。
「決めセリフ『なめたらいかんぜよ』には痺れた」(60歳会社員)
映画史・時代劇研究家の春日太一氏が解説する。