冬になると欲しくなる「熱い飲み物」には注意が必要だ。2016年には、WHO(世界保健機関)の外部組織「国際がん研究機関」が、〈65℃以上の非常に熱い飲み物〉にがんリスクがある可能性を指摘している。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。
「今年4月にイラン・テヘラン大が医学誌『がん国際ジャーナル』に発表した研究では、熱いお茶を飲む習慣があるイラン北東部の成人5万人を平均10年間にわたって追跡調査した結果、60℃以上の熱いお茶を1日に700ミリリットル以上飲むと、食道がんの発症リスクが90%増加するという結果が報告されています」
新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師がそのメカニズムを解説する。
「熱い飲食物を繰り返し口の中に入れると、食道の粘膜が破損と再生を繰り返すため、再生の過程で細胞に異常が発生し、発がんリスクが増すと考えられています。
過去には、新潟県のある地域で食道がんが多発した際、専門家が調査すると、煮え立つような朝粥を食する習慣があった例もある。熱いものを冷まさず飲み込む食べ方は、食道がんを招くので注意してほしい。冬に食べる機会が増える鍋物やおでんなどにも気をつけましょう」
※週刊ポスト2019年12月13日号