千葉県在住で、事務の仕事をしている梅野純子さん(47才・仮名)は「体調不良はほぼ市販薬で対処していました。病院というと大げさな気がして…」と振り返る。
あの日もそうだった。首と肩にひどい凝りを感じ、頭痛も限界に。梅野さんはドラッグストアに向かった。
「普段から仕事で一日中パソコンに向かいっぱなしなので、頭痛と肩こりには慣れていました。いつもより少しひどいかなと思い、『肩こりや筋肉痛に効く』クリームと鎮痛薬を購入。すぐに使用してひとまず症状は治まりました。ところがその夜、胃が激しく痛んで救急車を呼ぶ騒ぎを起こしてしまいました」
いったい何が原因なのか。薬剤師で銀座薬局代表の長澤育弘さんが解説する。
「『外用鎮痛・消炎薬』や『解熱鎮痛薬』には、どちらもインドメタシンやロキソプロフェンといった同じ作用の消炎鎮痛成分が配合されています。これらの成分には胃を荒らす副作用があるため、同時に使用すると胃痛を起こす可能性が高くなる。使用するなら、どちらかにするべきです。
クリームや貼り薬も皮膚から成分が直接吸収されるため、口からのむのと同様の副作用があるのです」
市販薬は医師の処方箋なしで手に入るため、つい気軽に使ってしまいがちだ。だが、素人が体の不調の原因を判断し、それに合う薬を正しく選ぶのは難しい。梅野さんのように、自己判断でよかれと思って服用し、かえって不調をきたすケースも少なくないのだ。
「市販薬には、医療用の処方薬よりも有効成分が多く含まれるものも少なくありません。市販薬だからといって効果が弱いわけでも、副作用が出ないわけでもないのです。そこを認識して服用することが大切です」(長澤さん)
※女性セブン2019年12月19日号