「人生100年時代を楽しく生きるために」というキャッチコピーとともに、テレビでは健康食品のCMが次々と流れている。現在コンビニエンスストアよりも多いといわれるドラッグストアに行けば、薬もサプリメントも選び放題だ。しかし、これらのよりどりみどりの健康法や治療法には、医学的見地から見直すと確固たる裏付けがないものが含まれていることをご存じだろうか──。
健康な体を保つために行っているはずの対策が「気休め」のケースも少なくない。
◆かぜ対策
これから冬の本格流行期に突入するわけだが、対策としてマスクをしたり、体を冷やさないために重ね着をする人もいるだろう。だが、それらには意味がないと秋津医院院長の秋津壽男さんは言う。
「マスクがウイルスを遮断する効果は、実はほとんどありません。ウイルスは非常に小さく、一般的に売られているマスクのメッシュなどを素通りしてしまう。鳥インフルエンザやエボラウイルス専用のマスクであれば効果がありますが、息を吸うのも苦しく、普段遣いは現実的ではない。加えて、一日中同じマスクを着用することで、外側の面に他人のくしゃみの飛沫などが付着し、病原菌やウイルスなどに手で触れてしまうことになりかねません」
重ね着がかえって体を冷やすこともある。
「そもそも、冬は寒いものですから、寒い状態に体を適応させる方が理にかなっていて健康効果がある。さらに重ね着をすると暖かい室内や電車に乗った時に汗をかいてしまう。外に出るとそれがすぐに冷え、かぜの原因になるのです」(秋津さん)
寒さを感じないように防御するより、薄着の生活を実践している人の方がかぜをひきにくいということのようだ。
また、かぜ対策の代表格のようにいわれてきた「うがい」だが、新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんは懐疑的だ。
「病気のウイルスが口の中にとどまっているのはほんの一瞬です。多くの場合はのみ込んでしまって肺や胃に入り、そこから発症するためうがいで口やのどを洗い流しても消滅する菌はほんの少しです」
あれほど幼いうちから身につけてきた習慣だったのに……。
※女性セブン2020年1月1日号