口内環境を健康に保つことは認知症予防や糖尿病リスクを下げるために役立つといわれている。口臭予防に気を配ったり、歯ブラシを持ち歩く人も珍しくないが、対策としては意味のないものもある。
30代以上の3人に2人がかかっており、さらに年齢を経るごとに増えていく歯周病。治療せずにいるといずれ歯を失うことになるばかりか、全身の疾患にも影響するという。
その対策としてしばしば取り上げられる歯肉マッサージについて、日本歯周病学会専門医で同指導医でもある弘岡歯科医院院長の弘岡秀明さんが解説する。
「歯肉をマッサージすると、たしかに気持ちがいいし、引き締まったような気がする。ですが、歯周病を防いだり、治す効果はありません。歯周病は原因であるプラーク(歯垢)を歯面から物理的に取り除くことによって治るもの。マッサージは気休めです」
また、何かと歯磨き剤にこだわる人も多いが、これもあまり意味がないようだ。
「歯磨き剤も、フッ素が入っているものであれば虫歯対策として一定の効果が見込まれますが、それ以外のものには大した差がないのが現実です。スーパーやドラッグストアではさまざまな種類の歯磨き剤が売られていますが、それこそが何よりの証拠。もし『これが効く』というものがあるならば、その商品が世界中に広がるはずです」(弘岡さん)
※女性セブン2020年1月1日号