最近のドラマでは、放送中や放送後にSNS上に視聴者の感想などが次々と書き込まれていく。制作者にとって耳なじみのいい声ばかりではなく、中には演出やストーリー展開への疑問や批判の声が上がることも珍しくない。今回、その対象となった2作品の“超展開”について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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秋ドラマが軒並みクライマックスに差し掛かっている中、物議を醸している2つの作品があります。
その2作品は『同期のサクラ』(日本テレビ系)と『4分間のマリーゴールド』(TBS系)。両作ともにヒロインが突然交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ったことに「ありえない」「これは反則」などと批判の声が上がっているのです。
批判の声が上がるのも無理はありません。『同期のサクラ』の北野桜(高畑充希)も、『4分間のマリーゴールド』の花巻沙羅(菜々緒)も、第1話から瀕死の重傷を負うことを明かしていて、視聴者は「なぜそうなってしまったのか?」とさまざまな予想をしていました。
しかし、終盤に入って明らかになったのは、「ストーリーに無関係かつ突発的な交通事故」「加害者は初登場のキャラクター」。言わば、瀕死の重傷を負わせるためだけに用意された強引な筋書きだったのです。
なぜ作り手たちは、クライマックス前に多くの批判を招き、評価を下げる強引な筋書きにしたのでしょうか?
◆重要ではない「昏睡状態になった理由」