年の差婚、事実婚、同性婚もある時代。結婚の「分岐点」をレポートするシリーズ、今回は二股を繰り返しながら結婚に辿り着いた愛子の場合。
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◆絶対結婚できない、と言われていた
まもなく2歳になる娘を抱き、2人の幼児の手を引きながら、愛子さんは現れた。現在41歳、3児の母である。弘中綾香アナウンサー似の人懐こい笑顔を見ると、実年齢より2つ、3つ、若く感じられる。とはいえ平日は短時間勤務で働くワーキングマザーだ。大変な日々を送ることは容易に想像がつく。
「毎日ぐったりです。でも、必要とされて、目の前のことに邁進する日々をとても気に入っています。私が3児のママになって子育てを楽しんでるなんて、周囲も驚いてますね」
と、愛子さんが笑うのには理由がある。彼女は34歳で結婚するまで、自他共に認める恋愛体質だったからだ。
「絶対結婚できない、と親しい友人にも言われていたし、たぶん、影でも言われていました。でも、私自身は、35歳までには結婚する気まんまんだったし、実際にしました。デキ婚ではないんです。22歳から付き合ってきた会社の同期と、まあ、途中少しは紆余曲折あったけれど(笑)、結婚しました」
初めて付き合ったのは中学3年生の時で、以来、彼氏がいないことはなかったという。それどころか、社会人になってからは、1人と付き合っていた期間はほとんどなかったという。つまり、彼氏がいても、常に浮気相手がいた。表現を変えるなら、同時に2人、時に3人と付き合っていた。そんな愛子さんがどのように結婚に至ったのか。
◆好きという気持ちに序列はない
夫となった秀(しゅう)さんとの出会いは入社式だった。大手通信会社の同期のなかで、地方大学出身の秀さんは、「イケメンなほうだけど垢抜けない感じがあった」と、東京生まれ、東京育ち、東京の有名私立大学を卒業した愛子さんは振り返る。
入社後、愛子さんには他の同期や職場の先輩、飲み会などで知り合った男性たちからもアプローチがあったが、すぐに秀さんと付き合うことを選び、告白した。
「その頃、大学時代から付き合っていた彼氏と遠距離恋愛になり、別れ話になっていたんです。私は彼氏が近くにいないとダメなタイプ。で、秀くんよりカッコいい人は周囲にいたけれど、いちばん安心できる感じがあったんですよね」
愛子さんのスタンスは常に自分から。告白されたことはあるけれど、告白されて付き合ったことはない。「女から行けば、だいたい上手くいくんじゃないかなあ。フラられたことはあるけれど、成功体験もあるので、傷ついても一瞬です(笑)」。いいなと思う人に自分から告白して、相手を振り向かせる。これほどの快感はないと、愛子さんは力を込めた。
大らかで、細かいことを気にしない秀さんとの付き合いはラクだった。実家暮らしの愛子さんにとって、秀さんが会社の近くで一人暮らしをしている点も好都合だった。
「仕事が忙しかったので、平日はよく彼の家に泊めてもらいました。うち、遠いんですよ。母子家庭で育って、母は私の恋愛に一切口を出さないんですが、結婚するまで一人暮らしはしないでおこうと決めていたんです。やっぱり母が淋しがるかなと思って」
交際はいたって順調。にもかかわらず、愛子さんにはもう一人、好きな人ができた。職場の6つ上の先輩だった。物腰が柔らかくてスマートな先輩は、仕事ができ、愛子さんのよき相談相手だった。