安倍晋三首相は、ホメられると喜ぶが、批判にはあまり耳を傾けない面もある。だったら話を聞いてもらうには、ホメるしかないのではないか。そこで、憲政史家の倉山満氏に安倍首相を讃えてもらった。
* * *
安倍さんの憲法改正に対するこれまでの姿勢、言動を見ると、一言で言えば“やり手ホステス”です。つまり、自分は憲法改正を何一つ進めていないのに、「安倍さんなら憲法改正をやってくれる」という『夢』を与えて、身も心も奪ってしまう。自分への票を貢がせ続ける。保守、改憲派に対する姿勢はずっとそれ。それにもかかわらず、嫌われないって凄い手練手管です。まったくヤレる可能性がないのに、ヤレるんじゃないかという夢を見させているわけですね。
ただ、安倍さんが彼らから得ている票もお金も大したものではない。だとすると安倍さんが何を気にしているのかと言うと、彼らから批判されることでしょう。
安倍さんは左派から批判されても、痛くもかゆくもないのですが、改憲派から批判されると凄く痛い感じを受けるんでしょう。普段は産経新聞より部数の多い読売新聞ばかりを向いているけれど、絶対に味方だと思っていたその産経に叩かれるといたく傷つくみたいな、そういう心境でしょう。だからこそ、保守、改憲派に夢を与え続けないといけないと思っているんじゃないでしょうか。
やり手だけれど、気の弱いホステスということです。店はほどほど繁盛するが、得意客を繋ぎとめるための話術しかない。これが安倍さんの改憲姿勢を説明するすべてだと思います。
※週刊ポスト2019年12月20・27日号