世の中の風刺を描き続けている漫画家のやくみつる氏は、最近安倍晋三首相に感謝しているという。そしてさらなる長期政権を期待しているのだという。なぜか? やく氏が語る。
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私は政治風刺漫画家として、安倍さんにものすごく感謝しております。小泉政権時代は総理に人気があり、絵になりやすいし発言も非常に特徴的で描きやすかったのですが、それ以降の政権は面白みがなくどうしようかと思っていたものです。
しかし安倍さんが復職されてからは、今回の桜を見る会の出席者名簿シュレッダー問題のように、笑いどころ満載のネタが次々に出てくるし、役人はツッコミやすい言い訳をしてくれる。そのひとつひとつが素晴らしいネタで、私にとってはまさに安倍バブルなんです。
野次も素晴らしい。
安倍さんは小学生でもわかる言葉で野次る。たとえば野党に対して言った「くだらない質問」「早く質問しろよ」「いいかげんなことばかりいうんじゃないよ」など、1コマ漫画でそのまま使え、誰もが分かる平易な言葉で解説してくれるのは、今の日本には安倍さんか池上彰さんしかおりません。
次の総裁選で岸田(文雄)さんが総裁にでもなったら風刺漫画家は終わりですよ。だから安倍さんにはどんな手を使ってでも政権の延命を図ってほしい。一日も長く、2000日といわず5000日でも総理をやっていただきたい。これが私の本心です。
※週刊ポスト2019年12月20・27日号