超高齢化社会をむかえる日本では、健康志向が高まっている。病原菌はマスクで完全防御。家に帰ったらうがいをして、歯磨きは厳選したお気に入りの歯磨き剤でしっかり行う。サプリメントを欠かさずのみ、水素水のペットボトルを持ち歩く…。しかし、これらの行為、すべて自己満足の「気休め」だったとしたら…?
医師が処方する薬や、ほどこす治療にも最新の知見や世界の常識に照らし合わせるとほとんど意味がないものも存在する。
◆抗認知症薬
高齢化とともに罹患者が増える認知症。65才以上の5.1%、85才以上の17%に認知症治療薬が処方されているが、実はほとんどの場合、効果は期待できない。実際、フランスでは2018年6月に「効果不充分」という理由で保険適用外となっている。
◆かぜに抗生物質
かぜをひいた時に処方される抗生物質も、世界の医療では時代遅れになっている。
医療経済ジャーナリストで『絶対に受けたくない無駄な医療』などの著書がある室井一辰さんが解説する。
「かぜはウイルス感染によって起きるもので、細菌を殺す抗生物質を投与しても意味がない。それどころか、耐性菌の出現の危険もある。日本だけの傾向で“とりあえず薬を出す”医療の典型です」
◆降圧剤