号泣しながら頭を下げる芸能人、仏頂面で発言を撤回する政治家……。今年も多くの面々が頭を垂れて謝罪の意を示したが、中には更なる騒動に発展するケースもあった。かつて吉本興業で広報を担当し、現在は「謝罪マスター」として活躍する竹中功氏が語る。
「著名人や会社の役員クラスになると普通の感覚を失ってしまい、事の重大さに気付いていない場合が目立ちます。その気持ちのまま会見に臨むと、謝罪も他人事に聞こえてしまう。被害者の立場を慮り、誰に何を謝るのか明確にすべきです。最もまずいのは嘘。その場で不明ならば、わからないと正直に答えればいいのです」
それでは今年、合格点を付けられる謝罪はあったのか。
「敢えて挙げるならば、田口淳之介君(元KAT-TUN)の土下座はファンに対する精一杯の気持ちが現われていたと思います」
とはいえ、謝罪をすれば一件落着というわけではない。
「そもそも事件の原因が何かを検証しないと必ず同じことが起こります。謝罪会見は他山の石ですから、企業ならばあらかじめ、社員一人ひとりに想定されるリスクを書き出させ、未然に防ぐことに力を注ぐべきです」
※週刊ポスト2019年12月20・27日号