昭和の女優ヌードや平成で開花したヘアヌードまで、戦後の出版文化の賑わいの中にはヌードがあった。外国の通信社から買った外国人女性のヌードから始まり、1970年代に平凡パンチが“自前のヌード”という分野を開拓。それが大きく花開いたのが1980年代だ。時代ごとのヌードを第一線で見てきた石川次郎、鈴木紀夫、元木昌彦の3氏が、当時の熱気を振り返る。
元木:1980年代になると次々とヌード写真集が出てきますね。原田美枝子、大谷直子、高田美和、五月みどり、風吹ジュン、関根恵子、浅野ゆう子、小柳ルミ子、秋吉久美子、坂口良子、かたせ梨乃、名取裕子……。
鈴木:私もその時代、1988(昭和63)年に初めてヌード写真集を手掛けました。コリアンエロスものです。韓国のフォトエージェンシーから「韓国のタレント、女優、モデルのヌードを撮っているカメラマンがいる」と聞いたんですが、当時の韓国はヌードに対する規制が厳しくて向こうでは出せないという。ならば、とこっちで出しました。モデルの了解も取っていないんですが(笑い)。大使館あたりから抗議が来ると困るから、タイトルは過激なものはやめて、中の文章も格調の高いものにしましたね。
石川:『韓国美女・夢幻』ですか。サブタイトルに「恨と忍のエロティシズム」とありますね。(中を見て)色っぽいじゃないですか。売れたでしょう。
鈴木:ええ、おかげさまで。