「うちには揉めるほどの遺産がないから相続関連は何もしないでいい」──。そんな考えは大間違いだ。相続争いの約半数は、「遺産5000万円以下」の家庭で起きていて、“争続”の件数は、この10年で右肩上がり。2019年には、約40年ぶりに相続の新ルールが本格施行された。妻が有利になるルール変更だったが、これがさらに“争続”の火種になりそうなのだ。
そこで、親が元気なうちに「これだけやっておけば十分」という生前整理の正しい手順を紹介する。
生前整理に必要なのは、大きく分けて下の6ステップ。まずはチェックボックスで“生前整理の準備”ができているか確認を。チェックの数が多いほど理想的だ。
【STEP1】相続人の把握
第一にすべきなのは、「誰が相続するのか」を把握しておくこと。遺言書で公的に指定した場合を除き、「配偶者→子供や孫→親→兄弟姉妹や甥・姪」の順に優先的に相続される。
●チェック項目
□家族と相続の話をしている
□誰が相続になのか把握している
□相続の優先順位を知っており、家族も了承している
□相続の基礎控除額がどれくらいか知っている
【STEP2】財産の把握
「家と車と通帳くらいしかないから」と高をくくっていると、残された人が大損する可能性大。株や生命保険、宝石も立派な財産だ。そのすべて書き出そう。遺言書に添える財産目録のたたき台にもなるので、書き出したらぜひ家族で共有を。
●チェック項目
□家族と財産の内訳について共有できている
□自宅や土地の価格がどれくらいか知っている
□口座の預貯金額の合計を知っている
□株などの金融商品の額を把握している
□亡くなった時の保険金がいくらおりるか把握している
□借金も“負の遺産”だということを認識している