年齢を重ねた男性の悩みに寄り添うための「ED治療」を巡る研究は、日進月歩の世界だ。広く世界に目を向ければ、画期的な新治療の研究がいくつも進んでいる。そのひとつが、最先端の再生医療を取り入れた「幹細胞治療」だ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。
「骨髄などから採取した幹細胞をペニスに注射することで、老化により衰えてしまったペニスの細胞を復活させる方法です。米国では実用化に向けた臨床試験の最中で、2019年10月には、61人に幹細胞移植を行なった結果、副作用もなく勃起力の回復がみられたことが発表されています」
もうひとつ、研究が進んでいるのが「低出力衝撃波治療」だ。
「ペニスに直接、衝撃波を与えることで、新しい血管を生み出し、血流を改善する方法です。実験によって有効性が示されたことが、2019年12月11日発行の医学専門誌に発表されました」(室井氏)
実験は、60人のED患者をランダムに「治療群」と「プラセボ群」に分けて行なわれた。
「実際に低出力衝撃波治療を行なった患者」と、「治療を受けたと思い込んでいるだけの患者」に分けて、思い込みによらない“実質的な効果”を検証したわけだ。
治療期間についても、4週間(短期間)と12週間(長期間)の2通りを比較検証したという。
「その結果、治療群では有意な改善が見られました。国際勃起機能スコア(IIEF5)基準では、持続時間やセックスの満足度などの“勃起の質”が改善。勃起硬度スコア(EHS)も改善しました。長期間治療を受けた患者により大きな改善がみられ、とりわけ“患者とパートナーの主観的な満足度”のスコアが高くなっていました」(室井氏)
※週刊ポスト2020年1月3・10日号