初詣の祈願は「無病息災」「健康長寿」などが定番だが、日本の各地には「身体の悩み」をピンポイントで助けてくれる神々がいる。
例えば、東日本には医薬の祖が祀られる「目の神」(埼玉・川越八幡宮)や、患者の口コミで広まった「がん封じの神」(東京・烏森神社)などがあり、西日本には、大阪人に親しまれる「腰痛封じの石」(大阪・愛染堂勝鬘院)や、不眠症に悩む人々が訪れる「安眠の神」(大阪・日根神社)などがある。
それにしても、なぜ日本には「病の神様」が多いのか。神社仏閣専門家の坂原弘康氏はこう文責する。
「医学が発達していない時代、心身の病は魔物が起こすものと信じられ、神仏にすがるしか治す方法がなかった。そうした魔物を追い払う魔除けの一つとして、社寺へお参りする文化が脈々と受け継がれてきたのだと思います。
現代医学で根治が難しい病気であれば、神様にお願いすることで気が休まるということもあるでしょう。『八百万の神々』と言われるように、日本で様々な神様が誕生することは不思議ではありません」
念ずれば通ず、の精神だ。
※週刊ポスト2020年1月3・10日号