12月31日、日本を出国しレバノンに到着したことが明らかになった日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告。その真意をめぐってさまざまな憶測が飛び交う中、レバノンから声明文が発表された。
「私は現在レバノンにいて、これ以上、有罪が前提とされ、差別がはこびり、基本的な人権が守られていない日本の仕組まれた司法制度の人質になることはありません。日本は、国際条約で保障されている、公平で迅速な裁判を行うこと、有罪を前提としないこと、基本的な人権、を守る義務があります。私は司法から逃げたのではなく、不正(不法)と政治的迫害から逃れたのです。ようやく自由にメディアとコミュニケーションが取れる状況になったので、来週からメディアに発信して行こうと思います」
この声明文の意図について、ゴーン氏の関係者はこう推測する。
「保釈に際しては海外渡航の禁止や妻との接触禁止など細かい条件がいくつもつき、行動が制限されることにゴーン氏は憤っていた。保釈後に居住していたのは東京都内にある戸建て住宅だが、入り口には監視カメラが付き、家財道具があまりなく、訪問客へのスリッパすら用意できない状況だったと聞いている。今回の出国計画については、東京での生活に常に寄り添っていた娘すら知らなかったようなので、子煩悩で知られるゴーン氏としては相当な覚悟を持った行動のはず。今後は、保釈後も自由な生活を送ることが許されない日本の司法の問題性を、国際社会に訴えていくつもりなのでしょう」
2018年の逮捕以来、日本の司法制度に批判的だった海外メディアは、ゴーン氏の“亡命”を支持するかのように、同氏の主張を次々と伝え始めている。世界を巻き込んだゴーン氏の反転攻勢が始まり、4月に開始する予定だった公判にも影響を及ぼすことは確実な情勢だ。