ライフ

山内昌之氏 見巧者だった昭和天皇は当世横綱に何を思う

『「国技」と「興行」の一〇〇年史』

 年末年始はゆっくり腰を据えて本を読む絶好の機会。2020年は果たしてどんな年になるのか? 武蔵野大学特任教授の山内昌之氏が選んだ2020年を読み解く1冊は、胎中千鶴氏の『「国技」と「興行」の一〇〇年史』だ。

●『叱られ、愛され、大相撲! 「国技」と「興行」の一〇〇年史』/胎中千鶴・著/講談社選書メチエ/1750円+税

 相撲ほど観客の集中力が欠如しているプロスポーツも少ない。桟敷でビールを飲み焼き鳥をほおばるうちに土俵上の取組が終わっていたり、隣の友人と話をしているといつのまにか別の力士が土俵に上がっているなど、時間の進行がまちまちなのだ。

 戦前から相撲に精神性の極まる武道の理想を求める人がいるかと思えば、営業第一の興行の成功こそ大相撲の目標だと信じる人もいた。現代にいたるまで、相撲には国技らしさや品格が求められる一方、どんなことをしても勝てば官軍という横綱さえいる。こうした矛盾こそ大相撲の魅力だと著者は考えているのではないか。

 著者は、大相撲の国技化を進めた大功労者として昭和天皇を挙げる。決まり手について人一倍詳しく、立合いのタイミングや品位について厳しかったようだ。いまの白鵬の相撲にいかなる感想を洩らすのだろうか、とつい想像したくなるほどの見巧者なのだ。

 1912年夏場所で千年川は横綱太刀山に「待った」を数十回繰り返し、なんと1時間半も費やした。制限時間のない時代とはいえ、裕仁皇太子は手元の表に思いきり辛い点をつけただろうと著者は推測する。

関連記事

トピックス

悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン