東京オリンピックが開催されるオリンピックイヤーでもある2020年。芸能界ではどんなことがブームになるのか? コラムニストのペリー荻野さんが独自の視点で分析する。
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そんなわけで明けました2020。ここでは今年、テレビでこんなことが起きるかも?ということを考えてみたい。
まず、「ドラマは忘れた頃にやってくる」ということ。昨年末、『ドラゴン桜』続編製作という話が出てきた。『ドラゴン桜』といえば三田紀房の人気漫画を原作に2005年、阿部寛演じる元暴走族のリーダーだった弁護士が、個性的な講師とともにダメ生徒たちを徹底的に指導して、東大合格を目指すというドラマ。独自の勉強法も話題になり、生徒役の新垣結衣や山下智久、小池徹平らがブレイクするきっかけともなった。
今観ると、茶髪にルーズソックス、だれーんとした制服姿の生徒たちの姿に懐かしさを感じるが、阿部寛はほとんど変化してないことに驚く。昨年の『結婚できない男』と同様、ドラマは忘れた頃にやってくるが、阿部寛はいつもそこに同じ顔でいた…。続編では長澤まさみが教師役といわれるが、当然、各芸能事務所一押しの若手を生徒役に推薦しているはず。その顔ぶれに注目だ。
阿部寛とは対照的に大いに変化して今年活躍しそうなのが、80年代デビューのアイドルたち。「怪優化に注目」だ。
年末に放送されたフジテレビの『悪魔の手毬唄』。加藤シゲアキの名探偵金田一耕助第二弾で、かつて金田一を演じた古谷一行との共演も話題になったが、それよりも目立ったのは、それぞれワケアリの娘を抱えた三人の母親たち。斉藤由貴、国生さゆり、有森也実だ。三人に事情を聞こうとしても、フンと鼻であしらわれるシゲアキ金田一。殺された娘の父親の写真がないかと聞けば「そんなもんありゃせん!!」と吹き飛ばされそうになっていた。そりゃそうだ。なんたって元スケバン刑事とおニャン子とキネマの天地なのである。貫禄が違うというものだ。
1966年生まれの斉藤、国生、1967年の有森。アイドル時代をよく知る世代としては、彼女らが母親役で貫禄を見せ、犯人でもないのに妖気を漂わせるというのは、なかなかに感慨深いが、今後、朝ドラの母親役や深夜ドラマの不思議ムードのおばさん役など、活躍の場は広がる。おお、向こうから薬師丸ひろ子(1964年生)が手招きしているではありませんか! かつては飛んだり跳ねたりドラマを軽やかに盛り上げた彼女らが、今や出てくるだけでどっしりと濃厚なキャラに。どんどんドラマを騒がせてほしい。
そしてもうひとつ今年のテレビで注目は、誰が東京オリンピックを盛り上げるか。開催中は各局、オリンピック一色になり、それぞれ独自のサポーターを用意するが、その中で誰が面白くするのか。調べてみれば、前回1964年の東京オリンピックの開会式当日は、日本テレビの司会者が坂本九、TBSにはゲストに石原慎太郎、フジテレビには木下恵介監督、テレビ東京は司会が高橋圭三、有吉佐和子、NETテレビ(テレビ朝日)は、『いだてん』の主役になった金栗四三ほか元五輪選手や森繁久彌、三波春夫らが出演している。渋い。チャラチャラ感ゼロ。この顔ぶれが時代を現しているといっていい。
今大会では、新年早々NHKでオリンピック番組を担当する「嵐」の動き、開催時に各局誰をゲストに招くのか。よくよく記憶しておきたい。