「三大疾病」──生命保険の広告などでこのフレーズを耳にする機会は多いだろう。がん・脳卒中・心疾患(心臓病)を示す言葉で、長年にわたり日本人の死因の上位3つを占めてきた。
2017年の厚労省調査でも、国内の死者の過半数が三大疾病のいずれかで命を落としたと報告された。そもそも脳卒中とはどういった病気なのだろうか。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんが説明する。
「脳血管障害の総称で、いくつかに分類できます。最も多いのが脳の血管が詰まって細胞が破壊される『脳梗塞』。このほか脳の血管が破れて起こる『脳出血』や『くも膜下出血』などがあります」
脳卒中が起こるのは、一瞬の出来事と言っていい。しかし、一朝一夕で引き起こされるわけではない。気がつかないうちにジワジワと魔の手が忍び寄る場合がほとんどだ。
ヘルシーなイメージのあるベジタリアン(菜食主義者)だが、英オックスフォード大学の研究によると、ベジタリアンは脳卒中になるリスクが20%高いという結果になった。
一方で、「フライドチキンなどの肉や魚の揚げ物を食べる頻度が高い人に脳卒中リスクが高まる」というアメリカで行われた調査結果もある。
岡田さんは2つのデータを次のように読み解く。
「ベジタリアンは肉からたんぱく質を摂取できないため穀物から摂取する糖質(炭水化物)が多くなる一方、たんぱく質と脂肪の摂取が少なくなりがち。その結果、血管を健やかに保つ材料が不足するため、脳卒中を招くのではないかと考えられます。
だからといって肉ならば何を食べてもいいという訳ではない。鶏の皮には動脈硬化を引き起こしやすい動物性の脂肪酸やコレステロールが多く含まれる。また、油を何度も使いまわすと酸化して発がん性を帯び、血管を傷つけることも明らかになっています」(岡田さん・以下同)
加えて注目したいのは「朝食を摂らないと脳卒中になりやすい」というものだ。「健康の源は朝食」と思いきや、専門家の見方は慎重だ。