昨今は5000円ぐらいから「春画」が買えるようになっているという。2013年に大英博物館が「春画展」を行なって以来、美術品としての評価も高まってきた。そして春画の本場・日本の場合、東京都内の春画販売店は、神保町や銀座、青山といった古くから古美術店があった街に集中する。神保町・原書房の原敏之氏はこう話す。
「一口に春画といっても大名が絵師に描かせた肉筆や貸本屋で庶民に回し読みされた版本まで様々あります。多くの人に読まれた商品は手垢が付いていることもありますが、それもまた味わい深いものがありますね」
販売される春画のなかには直接的な描写のない作品もある。神保町・五拾画廊の土屋雅人氏が語る。
「江戸後期の“あぶな絵”は幕府の春画規制をかいくぐるための絵師の工夫が生かされ、男女間に何かがあったことを暗示させる構図が多い」
販売店では、買い取り事業も進めている。銀座・秋華洞の田中千秋氏はこう語る。
「春画は江戸前期から明治頃まで娘の花嫁道具として持たせる風習があったようです。そのため“祖母の遺品で……”とご遺族様が売りにいらして価値のあるものが出てくることもあるんです」
『原書房』東京都千代田区神保町2-3
『五拾画廊』東京都千代田区神保町1-8 山田ビル5F
『秋華洞』東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F
※週刊ポスト2020年1月3・10日号