国内のビール市場が15年連続で縮小することが確実ななか、「健康」の領域に照準を置き、多角化を進めているのがキリンホールディングスだ。今年8月には、化粧品やサプリメントを手がけるファンケルとの資本業務提携を発表したことも話題を集めた。これからの勝ち残り構想をどう描くのか、磯崎功典社長(66)に訊いた。
──従来からの柱であるビール市場の縮小にはどう立ち向かう?
ビールは装置産業ですから、少ないブランドで大量生産できれば経営的にも生産的にも一番効率がいい。ですが、もう効率を追い求める状況ではなくなってきています。
時代とともに消費者の価値観が変わり、「人と同じもの」から「人と違うもの」に選択基準が変わっています。それに従い、これまでのマスに向けた広告よりも、友人や知人らとのSNSが重要な情報源になっている。
もっとビールを個性的に、魅力的にしなければいけない。たとえばワインの世界であれば、この料理だからこういう赤、あの料理だから白で銘柄は何とかペアリングの選択肢がある。同じようにビールに個性を持たせるには、クラフトビールを拡大する以外、手がないでしょう。