「三大疾病」──生命保険の広告などでこのフレーズを耳にする機会は多いだろう。がん・脳卒中・心疾患(心臓病)を示す言葉で、長年にわたり日本人の死因の上位3つを占めてきた。
2017年の厚労省調査でも、国内の死者の過半数が三大疾病のいずれかで命を落としたと報告された。
生活習慣もまた、脳卒中の発症と大きく関係している。秋津医院院長の秋津壽男さんはこう言う。
「座りっぱなしがリスクを上げるのは=運動不足と考えられます。そうなると代謝機能や血液の循環に悪影響を及ぼし、血液がドロドロになる。脳卒中を招きやすい状態になってしまう」
こう聞くと、すぐにでも走り出したくなるが、運動にもリスクを上げるやり方と下げるやり方があるという。
「1日30分程度の適度な有酸素運動であればプラスに働きますが、それを超えた過度な運動をすると逆効果。過剰に交感神経が緊張して血圧が上昇し、発症リスクを上げてしまうのです」(秋津さん)
また、素人目には関係なさそうに感じる病気やその治療にも、脳卒中との関連が指摘されているものがある。その一例が、「ホルモン補充療法」だ。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんはこう語る。
「女性ホルモンの過剰投与で血液が固まりやすくなり、脳卒中リスクが高くなる。これはアメリカでは何十年も前から知られており、警鐘が鳴らされてきました」
さらに意外な病気が脳卒中の引き金になっていたことも判明している。歯周病にかかっている人は脳卒中に2.8倍なりやすいという。
「血管関係の病気で亡くなった人の脳を解剖したところ、血管の壁に歯周病菌が見つかったことが報告されています。口内の傷から歯周病菌が血管に入り、全身にまわった時、体は菌を追い出そうと抵抗します。その反応として血管が炎症を起こし、影響で動脈硬化が進行。脳卒中につながると考えられます」(秋津さん)
「離婚」や「夜勤シフト勤務の仕事」など「人生の選択」も脳卒中リスクを上げる。
「看護師のような、日勤と夜勤が交互にやってくる不規則な生活を強いられると、体の生体リズムが狂い、交感神経が過緊張状態になる。これは運動しすぎの状態に似ている。『離婚』のような環境の変化も同様です。その状態を放置すると血管が収縮して血圧上昇を招き、血管に大きな負担をかけて脳卒中にもつながるのです」(秋津さん)
あなたの今日の選択が、将来のリスクを遠ざけるだろう。
※女性セブン2020年1月2・9日号