放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、年男を迎える高田氏が同い年とねずみ年仲間について、高田氏より一回り下のねずみ年男、桂雀々が『贋作 男はつらいよ』に主演に至る顛末についてお送りする。
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あけましておめでとう。あけすぎたのかもしれません。ネズミ年、そう私は今年6月で72歳。同じネズミでもひとまわり下(60になる)の桂雀々とたった二人で“チューチューマウス会”というのをやっている。12月になると私のラジオのゲストに雀々が来て、暮れの「桂雀々独演会」(国立演芸場)には私がゲストで出演し二人で爆笑トーク。何故か気があう二人。会の主旨は「ただ人前でイチャイチャするだけ」というもので、すでに半蔵門近辺では年の瀬の風物詩にもなっている。
毎年毎年二人だけじゃ少し寂しいので、来年は誰かをマウス会に入れて国立でイチャイチャしようと私が提言。元祖“おっさんずラブ”である。高座の上で二人で考えた。誰がいいか。私が「1948年生まれは凄いぞ。沢田研二、井上陽水、五木ひろし、泉谷しげる、谷村新司。歌手じゃなかったら舛添要一か鈴木宗男だな」に爆笑。
雀々少し青ざめて「ちょっ、ちょっと呼べへんわ。私の年代も仰山おりまっせ、たしか真田広之、佐藤浩市」と胸を張るから言ってやった。「60歳になるのはダニエル・カールにエスパー伊東」「それオチやん!」だと。同じ干支の人を探すのも面白い。ちなみに呼べばすぐに来そうな落語家だったら、私と同じ1948年生まれにヨネスケ(桂米助)、月亭八方、桂文珍がいる。